「ゴッドサイダー」「ミキストリ」の巻来功士先生の自伝漫画、「連載終了!~少年ジャンプ黄金期の舞台裏~」はさっぱりした読み口で!エログロはどこいったんだよ!
昔からよくある漫画家先生の立志伝というか自伝というか、そういう漫画ジャンルに巻来功士先生が挑戦しています。
しかしですね、巻来功士といえば30代の私からしても一世代以上前の作家先生な訳で、そもそも今回買った「連載終了!~少年ジャンプ黄金期の舞台裏~」で初めて名前の読みた方を知ったよね。まきこうじって読むんだよみんな!
巻来功士先生の代表作である「ゴッドサイダー」とか「ミキストリ」は古本屋でよく見かけたけど読んだことはなし。何か独特の禍々しい雰囲気があるから、作者は絶対に変な人だと思ってたところに、この本が出たのでどんな作者なんだろうって買ってみたんだよね。
ところがですね、すごく普通なんですよこの本は!主人公の巻来功士先生もどこにでもいる普通の青年なんですよ。先生の作品から醸しだされる負のオーラがまったくない。憑き物が落ちたようにすっきりとした絵とストーリーで、先生の苦労話が続く訳です。いやいや、新人賞に応募して落ちた話とか担当編集が変わって大変だ、みたいな苦労話はですね、他の先生がすでに描いてるんで知ってるんですよ。見たかったのは先生の黒い(はず)の内面なのに、何もない。ゴッドサイダーの誕生秘話も非常に軽いノリで悪魔学の本を片手に描き上げるわけですよね。
とはいえ、ジャンプ黄金期の舞台裏ってことで秋本治先生とか原哲夫先生が登場したり。
荒木先生が登場したり、有名な先生が出てくるのは面白いですわ。
面白く感じるのは編集部の話であったり他の先生達の話で巻来先生のお話はいまいち。絶対に何か隠しているよねこの先生。あるだろ、もっとぶち込める内容が!なきゃあんな漫画描けないだろ!あと、そこはかとなく絶妙にダサい雰囲気なのはご愛嬌ですかね。このページとか、そのページとか。翼が生えてるやん、みたいな。
一番おもしろかったのは巻末のジャンプ5代目編集長・堀江信彦氏との対談。
堀江氏のマンガ論が非常におもしろかった。巻来先生は、まあ別に。
ストーリーラインが縦糸
演出やキャラクター作りが横糸
漫画って横糸7:縦糸3くらいでいいんだ。それを「キャラクター」っていうわけ。
大体20ページあたり100コマは必要。それで割ってないのは面白くないんだ
最近の漫画は70~80コマ。
じゃあその30コマくらいの違いはなんだって言うと、そこでちゃんと場面転換とか時間経過とか捨てカットを入れて、人の表情で間を作るとか、読者にフッと想像させるとか、そういうことをやっているの。演出をしてるのね。
それでその編集からメールが帰ってきて、「堀江さん、すいません。『ワンピース』104コマでした」って。
この部分は久保帯人先生に是非読んで頂きたいな、と思いましたよね。
巻来功士先生の強みであるエロス・バイオレンスがない自伝で少し残念でしたけどね!
おしまい。
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