沙村広明の「春風のスネグラチカ」はまあまあ。アフタヌーン新連載の「波よ聞いてくれ」が底抜けに良かったからな!

相対的な評価で申し訳ねえ。でも「波よ聞いてくれ」の方が一桁上で面白いんだな。まだ1話だけど。「春風のスネグラチカ」も悪くはないんだけどな。とはいえこの表紙は抜群にええな。
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内容:
極寒のロシアを舞台に沙村広明が描く、戦慄の歴史ロマン。
◆1933年、ソビエト連邦カレリア自治共和国。とある別荘(ダーチャ)の管理人であるイリヤ・エヴゲーニヴィチ・ブイコフは、車椅子の少女・ビエールカと物言わぬ従者・シシェノークに出会い、奇妙な賭を申し込まれる。なぜ彼らはこの地を訪れたのか、どこからやってきたのか。そして互いだけを頼りに生きる二人が背負う、密かな宿命とは――。
とある名家にまつわる、喪失と奪還の物語。

春風のスネグラチカ」は、マンガ・エロティクス・エフ vol.81-87に連載された模様です。んでエフはvol.88にて休刊らしい。今知ったわこんちくしょう。出版社がクイック・ジャパンを出してる太田出版なので、掲載される漫画も他にはない漫画家主体の描きたいことを描いている作品が多い。悪く言えば読者無視のオナニー作品が多い印象。

そんな中で沙村さんも好き放題に描いたんじゃないですかね、これ。読者としては導入部から置いてきぼりで、ストーリーの中で徐々に謎だった箇所が明かされるわけですけど、話としては定石通りのストーリーなんで、だるま少女(手はあるけど)&隻眼の従者のキャラありきで作られた雰囲気でございました。とはいえ単行本1冊に上手くまとめてあるんで、ファンなら一読の価値は十分にありです。

で、ですね。この連載が終わってすぐにアフタヌーンで新連載がスタートしてますけど、こっちの1話目がすごく良かったです。
タイトルは「波よ聞いてくれ」です。意味不明ですね。
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内容:札幌に暮らすスープカレー屋勤務の20代女性・鼓田(こだ)ミナレが主人公。彼女はひょんなことから業界人の中年男性に騙され、ラジオDJデビューしてしまう。

無限の住人」で時代劇に飽きた沙村さんは、あっちこっちで短作を実験した結果、本腰を入れて現代劇に取り組むことに。たぶん。本腰ですよねこれ?
導入部での主人公が失恋話でクダを巻くシーンから自宅・職場そしてラジオ局へと舞台はスムーズにそして怒涛のように流れます。この流れ、1話目として大正解で超面白い。
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このデミ・ムーア主演の「ゴースト~ニューヨークの幻~」を観るつもりで「ゴースト/血のシャワー」を純愛映画と思って観ちゃうあたりが可愛い。悪友の存在がプンプン匂いますね。んでリメイク版の「ゴーストシップ」じゃないところもまた良いですねー。この映画を観て泣いたあげくに感想が「死んだ人の心が現世に残るストーリーって独特の切なさがあるよね。ラストで男が悪霊にとり憑かれるシーンまじトラウマ・・・、ところでデミ・ムーアはどこに」だそうでデミ・ムーア版にも通じる良い感想文です。
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んで仕事に行くわけですけども、この後なぜか昨夜のバーでの愚痴がラジオで流れ出し、ラジオ局に突撃したりして、元カレに殺害予告で1話目終了です。
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なんだこの話。こういう漫画をぽいっと載せてくるあたりがアフタヌーンの凄みです。他にはない沙村節が全開で、この後の話の流れがまったく予想できない素晴らしい導入話。このテンションで長く続く作品になって欲しい、期待しかしておりません。
おしまい。

関連リンクarehasouhigashinosorani.hatenablog.jp

春風のスネグラチカ (F COMICS)

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波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンKC)

波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンKC)

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